抄録
カシノナガキクイムシ(以下カシナガ)によるナラ枯れは、日本海側を中心に全国各地で生じており、中国地方全県でも被害が確認されている。このナラ枯れの簡易な防除手法の開発のため、アース製薬製の粘着シート(以下シート)を用いた防除試験を行った。
カシナガ脱出防止試験では、現在開発中のシートの粘着面を内向きにして被害木の樹幹および伐根を被覆し、様々な設置方法でカシナガの捕獲効率を調査した。また、ナラ枯れ予防試験では、市販シートの粘着面を外向きにして立木の樹幹に1周巻き付け、枯死被害の軽減効果を調査した。
脱出防止試験でシートを直接樹幹に設置したものは、シートと樹幹の間に樹幹流が滞留し、さらに蟻道が形成され、粘着力が低下する箇所が見られた。しかし、シートと樹幹の間に空間を設けたものは、シートが乾燥しており、多くのカシナガが捕獲された。このことから、シートと樹幹の間にはある程度空間が必要と考えられた。予防試験では、調査した4林分のうち1林分で対照であるシート非設置木の20%が枯死したが、シート設置木では枯死が生じなかった。今後は、シートの設置位置・枚数などの検討が必要と考える。