抄録
食用きのこ栽培地域の環境が森林性キノコバエ類群集の多様性、特に、シイタケ害虫となるキノコバエ類の動態に及ぼす影響を明らかにするため、森林内のキノコバエ類群集を調査した。大分県日田市に20 ヶ所(シイタケ菌床施設 3, 人工林 6, 天然林 6, シイタケほだ場 5)の調査地を設定した。2012 年 2 月から 6 月までの間および 9 月から 11 月までの間にそれぞれ月に 1 回ずつ計 8 回、各調査地内に設置した 10m 四方のコドラート 1 か所で 30 分間、その周囲の同林分内で 30 分間、捕虫網によるキノコバエ類の採集を行った。調査地間のキノコバエ類群集の組成の違いを明らかにするため、各調査地で得られた属数を比較し、属を単位として主成分分析を行った。その結果、菌床施設で発生しているキノコバエ類の属数は野外のそれらより明らかに少ないこと、天然林・人工林・ホダ場の間で属数が大きく異ならないことが分かった。また、菌床施設で発生しているキノコバエ類群集は野外のそれらとは大きく異なっていること、天然林と人工林の間では一部重複しながら、異なる群集が形成されていることが分かった。