抄録
はじめに ラメートとジェネット間の遺伝構造の比較は、クローン繁殖と有性繁殖の貢献度を評価できる。また世代間の遺伝構造の比較は、遺伝的変異を解明する上で有効である。本研究は白神山地のハウチワカエデ稚樹を対象にSSR解析を用い、クローン多様性の評価と遺伝構造の比較を行った。 材料と方法 青森県白神山地内の世界自然遺産緩衝地域に属する高倉森固定調査区内の1.2haを調査区に設定した。稚樹を対象に毎木調査を実施し、SSR解析を行った。そしてSimpsonの多様度指数からクローン多様性を評価し、成田(2012)のデータを使用して、サイズ階級間のSp統計量を比較した。 結果と考察 477ラメートから342ジェネットが区別された。Simpsonの多様度指数は、両稚樹で高い値(0.998)であり、また近距離(20m)でのクローン形成と種子散布がみられた。Sp統計量は、成木>小稚樹>大稚樹となり、稚樹間での間引きが示唆された。また成木集団では①異なる世代の重複、あるいは②風衝地帯の環境下での血縁選択が示唆された。