抄録
外来樹木ニワウルシは、その種特性から日本においても侵略性を示すのではないかと危惧され、その分布や拡大等が注目されている。甲府盆地における分布状況を調査した結果、ニワウルシの集中する地域が複数特定され、地域ごとにニワウルシの分布を決定する環境条件が異なることが明らかとなった。そこで本研究では、同地域において葉緑体SSRを利用し、ニワウルシの遺伝的特徴を明らかにすることで、それぞれの分布拡大の過程が異なるかを推定した。分布が集中している地域を中心に森林周辺から12集団、農耕地周辺から9集団、市街地から2集団の計23集団、456個体を採集し、ハプロタイプを決定した。その結果、2ハプロタイプが認められたが、集中地域や土地利用によるハプロタイプの分布の偏りはなかった。1つのハプロタイプは調査地全体に見られた。しかし、もう1つのハプロタイプは調査範囲の北西から南に流れる釜無川の西側8集団と市街地の2集団にのみに分布した。このことから、ハプロタイプごと及び地域ごとに分布の拡大過程が異なると推察される。