日本森林学会大会発表データベース
第126回日本森林学会大会
セッションID: T22-16
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持続可能な社会の実現に向けた森林教育
ベネズエラにおける環境教育の現状と課題
*安藤 愛
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抄録

ベネズエラは石油埋蔵量世界一を誇る資源大国である。一方で、「21世紀の社会主義」を目指した独裁軍事政治の遂行が、教育にも影響を及ぼしている。環境分野では、公共料金の安さから節水や節電といった環境配慮行動のインセンティブに欠け、公害等による健康被害も表面化しておらず、環境意識や当事者意識の低さが潜在的にある。このようななか、環境教育としての植林イベントがよく行われるが、イベント性を重視し、実施が目的化され、参加人数と実施写真のみが評価対象である。よって植林地の状況を考慮せず、植林後のモニタリングも行わずに放置される実態がある。これに対し、成功している環境教育の実践例として「高倉式コンポスト普及プロジェクト」がある。環境問題解決への社会的ニーズと生ごみ減量という目的があること、さらにコンポストという成果物と、学校菜園や花壇など利用先が確保されており、普及にいたっている。この事例は、参加者が当事者意識を持ってプロジェクトに取り組むことによって、環境配慮行動につながるものであり、目的と成果の明確さから当国における環境教育の課題を解決するものと考えられる。

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