論文ID: 25-00005
仙台湾におけるイカナゴ加入の激減の要因を推定するため,イカナゴ加入と主要な餌料であるカイアシ類の関係を検討した。イカナゴの加入成功率と4月の当歳魚CPUEは2019年に激減した後,2022年に増加した。イカナゴ稚魚は成長に伴い1.5 mm PL以上のカイアシ類に正の摂餌選択性を示した。1.5 mm PL以上のカイアシ類の個体数密度は,加入成功率と4月の当歳魚CPUEと同様な変動を示し,両変数に正の影響を与えていた。2019年に激減した1.5 mm PL以上のカイアシ類はCalanus sinicusであると考えられ,本種の減少がイカナゴ稚魚の餌料環境に影響を与え,加入不調の一因となった可能性が示唆された。