近年、人工林が成熟して伐期に達したことや森林簿情報の信頼性が低いことから、広域で材積を正確に把握することが求められている。リモートセンシングは広域での森林資源の把握には有力な手段であるが、実利用を考えるとニーズに応えられる精度が得られない場合が多い。その原因はリモートセンシングに由来する場合と森林の多様性に由来する場合がある。例えば、光学センサではスペクトル(色)から間接的に樹種や葉量などを推定すること、季節によりスペクトルが変化することなどが誤差の要因であり、解析精度を向上させるために工夫が必要である。航空レーザスキャナでは計測結果は直接測定の値と言って良いほど精度が高いが、様々な樹冠閉鎖率や樹冠の形状の違いなどが材積推定の誤差要因となる。数平方キロメートル程度のエリアを対象に、チャンピオンデータと呼ばれる理想的な条件で観測されたデータで解析した場合に高精度の結果が得られることが多いが、対象エリアを百平方キロメートル以上に広げると大きなエラーが散見されるようになる。本講演では講演者の経験に基づいて材積推定の手順と誤差の要因、および精度向上への課題について述べる。