日本森林学会大会発表データベース
第128回日本森林学会大会
セッションID: T4-13
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学術講演集原稿
谷壁斜面において十分に湿潤になった土層で観測された降雨流出機構を飽和不飽和浸透流理論 によって再現する試み
*谷 誠
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抄録

山地斜面における降雨波形の洪水流出波形への変換は、主に傾斜方向の地表面流や浅い地中流によって担われると考えられてきた。しかし、雨水はまず鉛直浸透するので、土壌層全体が湿潤化した後における不飽和帯での波形変換の役割も検討すべきである。そこで、竜ノ口山試験地の谷壁斜面における圧力水頭と流出強度の観測結果(Tani, J. Hydrol, 1997)に対して現地で調査された土壌物理性を用いた2次元飽和不飽和浸透流計算を適用し(HYDRUSによる)、湿潤期間における観測値と比較した。土壌層底面の圧力水頭をゼロとした計算の結果、観測された圧力水頭の鉛直方向への伝播傾向が再現された。また、土壌層底面からの計算流出強度を合計した結果は、斜面下端からの流出強度観測結果とほぼ一致した。この結果、土壌層底面の基岩との境界に沿って速やかな排水が行われていると推測される。以上から、傾斜方向の流れに関わる斜面長や斜面勾配が洪水波形変換を支配するとの分布型流出モデルの推測は必ずしも妥当ではなく、鉛直不飽和浸透流に関わる土壌層厚さや土壌物理性の洪水流出応答に及ぼす効果がむしろ重要と考えられる。これについて今後の観測検討が必要である。

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