主催: 一般社団法人日本森林学会
会議名: 第129回日本森林学会大会
回次: 129
開催地: 高知県高知市(主に高知大学朝倉キャンパス; 3/26は高知県立県民文化ホール)
開催日: 2018/03/26 - 2018/03/29
トドマツノキクイムシは,北海道~九州,朝鮮半島,シベリアにおいて,モミ属を加害する樹皮下キクイムシである.近年,シベリアモミ天然林において枯損が発生,拡大している.しかし,トドマツノキクイムシによる,他のモミ属樹種への加害状況や選好性の違いは明らかになっていない.また,モミ属各樹種は,ほぼ異所的に分布している.そのため,トドマツノキクイムシの生息域によって,寄主選好性に違いがあるかもしれない.そこで,トドマツノキクイムシの加害選好性とその地理的変異を明らかにするために,2015年春に,モミ属4種(モミ,ウラジロモミ,シラビソ,トドマツ)の丸太を,北海道と本州中部山岳地帯に設置,同年夏に回収し,トドマツノキクイムシによる穿孔数を計測した.トドマツノキクイムシによる穿孔数は,北海道と本州中部山岳地帯の両方において,トドマツよりもシラビソで有意に多かった.このことから,シラビソが存在しない北海道でも,シラビソを好むことが明らかになった.発表では,他のモミ属2種の結果も合わせて,トドマツノキクイムシの寄主選好性と穿孔成功率の地理的変異について議論する.