日本森林学会大会発表データベース
第129回日本森林学会大会
セッションID: A19
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学術講演集原稿
林業事業体の労働力確保の新たな動向―岩手県と秋田県を例に―
*滝沢 裕子伊藤 幸男高野 涼
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抄録

本研究の目的は、事業体の経営が素材生産へ移行している東北(岩手県・秋田県)において、林業労働力の確保と育成に関する事業体の新しい動向を捉えることである。森林組合を含む岩手県5社、秋田県6社の認定事業体への聞き取りを通して、採用や資格取得、独自の育成取り組み等に注目して特徴付けを行なった。その結果、採用に関しては新卒採用を強調するものと中途採用を強調するものと明確に分かれた。また、事業体は造林事業やそれ以外の事業多角化を行いながらも、機械化拡大によって素材生産を事業の核とすることが共通しており、機械操作のためには資格取得を重視していることも一致している。その資格取得は、研修制度内取得で十分とするもの、業務に応じて自社負担で資格取得を推進するもの、資格取得も含めた総合的な作業員育成をするもの、と取り組みは事業体によって異なりを見せた。しかし、育成が定着率に繋がっていない事業体も見られた。その違いは独自の教育制度導入、仕事の目的を明確に持つ人材や地域定住を重視した人材の採用、事業体や個人の業績に合わせた賃金制度の導入等特徴的な取り組みの有無が背景として推察される。

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