主催: 一般社団法人日本森林学会
会議名: 第129回日本森林学会大会
回次: 129
開催地: 高知県高知市(主に高知大学朝倉キャンパス; 3/26は高知県立県民文化ホール)
開催日: 2018/03/26 - 2018/03/29
今日では木造住宅の主要な構造材には集成材を使うことが多くなり、外材比率が高いことはよく知られている。しかしながら、スギの産地である宮崎県ではスギを多く使い、こうした全国的傾向とは全く異なる木材の使用が一般に見られる。そこで、本研究では、県内のプレカット工場主要7社と県央地区の地場工務店4社の木材使用状況を調査し、全国データとの比較を試みた。その結果、木材流通統計(2012)による全国のプレカット工場用材入荷量では構造材として使用される木材の42%が集成材で、ついでKD材が多く、未乾燥材等は12%を占めるに過ぎないが、宮崎県では集成材がプレカット工場で16%、地場工務店で3%、未乾燥材がプレカット工場で48%、地場工務店で62%を占めており、全国とは異なり、未乾燥材をプレカットすることが一般的であることが判明した。合わせて、プレカット工場の場合で柱は91%がスギ、梁・桁は82%がスギと、全国と比べスギ比率が極めて高かった。このような地場需要の存在は、宮崎県のスギ林業・製材業にとって大事なアドバンテージの一つとなっていると考えられた。