主催: 一般社団法人日本森林学会
会議名: 第129回日本森林学会大会
回次: 129
開催地: 高知県高知市(主に高知大学朝倉キャンパス; 3/26は高知県立県民文化ホール)
開催日: 2018/03/26 - 2018/03/29
担い手不足は林業の課題のひとつである。これまで林業就業については、緑の雇用や林業大学校といった職業訓練の経路が中心的であった。しかし、これらと異なる地域起こし協力隊という経路による林業就業が近年、広がりつつある。特に自伐型林業を標榜する林業就業は、他の職業訓練型の経路には見られない特色ある取り組みといえる。本研究では、「津和野型自伐林業」を掲げて平成26(2014)年から地域起こし協力隊の募集を行っている島根県津和野町を対象として、受入側である町役場と応募者である隊員に対するインタビュー調査を行った。その結果、受入側である町役場は、後発林業地域であり管内に林業事業体が少ないという背景から、自伐型林業に魅力を感じていることがわかった。同時に隊員側は必ずしも当初より林業への就業を目指していたわけではなく、緑の雇用や「森林の仕事ガイダンス」に対する認知も低いことがわかった。地域起こし協力隊という枠組は、従来の林業就業支援枠組とは異なる対象にアプローチしているものと考えられる。このような多様化する林業実態を既存の林業施策にどう位置づけていくかを検討する必要がある。