ササ類は長寿命一回繁殖植物であり、しばしば広域に同調して一斉開花する特異な生活史をもつ。スズタケは過去に秩父で開花したが、結実率が極めて低くく繁殖失敗となったことが報告されている。近年スズタケの開花が報告され、前年までに関東などで一斉開花し全国的な広がりを見せている。しかし、希な更新機会に成功した場合の繁殖特性については明らかになっていない。本研究は2017年に愛知県東部を中心に一斉開花したスズタケの開花時期や開花量、結実率、種子量などを調べ過去の開花記録と比較した。 2017年の開花は5月中旬から群落全体の80%が開花し、26%程度の結実率で過少に推定しても約2千個/m2の種子が落下した。前年に狂い咲きする前咲きでは開花率は群落の10%程度だったが、種子量は本開花の1%にも満たなかった。今回の開花は、秩父の事例と比べると結実率が高く健全な種子が多量に生産されたため、十分更新が可能と予想される。2018年には一斉に発芽し、更新が開始されると考えられる。今後は更新調査も行う必要がある。