日本森林学会大会発表データベース
第129回日本森林学会大会
セッションID: P2-234
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学術講演集原稿
シカ生息地におけるオオバアサガラ林の成立と剥皮による枯死
*石原 正恵
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抄録

ニホンジカの個体数の増加による採食植物の減少と不嗜好性植物の優占、そして生態系への影響が日本各地で問題となっている。生態系を管理していく上で、不嗜好性植物が優占した状態で生態系が安定するのか、それとも不嗜好性とされていた植物種も新たに採食されるようになり植物群落が変化しつづけるのか、を明らかにすることが重要である。 本研究は不嗜好性植物とされてきたオオバアサガラを対象に、京都大学芦生研究林において樹皮はぎ(剥皮)の被害状況と今後の動態を検討した。芦生研究林では2000年ころから採食植物の減少する中、オオバアサガラは分布を拡大してきたと考えられているが、2016年ころから樹皮はぎが見られるようになった。2017年にオオバアサガラ純林2ヶ所(各10m✕15m)で毎木調査を行った。剥皮は調査幹の7割でみられた。剥皮された幹の9割は枯れており、その割合は剥皮されていない幹の約3倍高かった。剥皮された幹では剥皮されなかった幹に比べ多数の萌芽が地際から伸びていた。シカによる樹皮はぎはオオバアサガラ幹を枯死させるが、しばらくは萌芽による再生と樹皮はぎが繰り返され、オオバアサガラが優占した状態が続くと考えらる。

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