成長錐は、樹木を枯死させることなしに比較的少ないダメージでコア試料を採取することができる。年輪幅・密度測定の場合、φ5mmの成長錐コアが用いられるが、安定同位体比や放射能を測定する場合、より多量の試料が得られるφ12mmコアが望ましい。人力でのコア採取は作業者の疲労が大きいという問題があった。この問題の解決のため、電動モーター、ガソリンエンジンなどの動力源を持つ成長錐コア採取装置が考案されてきたが、従来の装置は、装置の総重量が数十キログラム以上と重く、持ち運びに不便であるため、普及しなかった。そこで我々は、電動レンチ等を動力源として用いることにより、 (1) φ5mm成長錐コア採取用に、総重量6.5kg以下で1分間に50cm程度成長錐をねじ込むことができる装置、(2)φ12mm成長錐コア採取用に、総重量9.5kg以下で1分間に12-50cm程度成長錐をねじ込むことができる装置を開発した(Kagawa & Fujiwara 2017, Journal of Wood Science)。これらの装置の普及により、林学研究における成長錐コア採取作業が大幅に効率化されることが期待できる。※「成長錐 3分」で検索すれば、装置の動画を見ることができます。