周囲を海に囲まれた我が国では、古来より森林と漁業の関係が強く認識されてきた。明治以降、近代的土地所有権の確定にともない森林利用に対する公法的規制が制度化された。明治9年官林調査仮条例により官林内に「魚附場」(禁伐林)がはじめて規定され、明治30年森林法保安林制度により「魚付林」(普通保安林)が規定された。現行森林法においても「魚つき保安林」として継承され、2015年度末現在、高知県内には929ha(国有369ha、民有560ha)が「魚つき保安林」の指定を受けている。本報告は、高知県における「魚附場」及び「魚付林」の指定状況を『七郡禁伐林官林台帳』(1889年調整)、『高知県保安林台帳下調』(1903年調整)、『漁業ト森林トノ関係調査』(1911年)等から把握し、森林所有者と沿岸住民、あるいは住民相互の利害関係が公法的規制の原点である保安林制度の中にどのように取り扱われたのかを考察する。