日本森林学会大会発表データベース
第130回日本森林学会大会
セッションID: T4-6
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学術講演集原稿
冷温帯性樹木の細根フェノロジー:地上部との非類似性や機能群による違い
*小林 真佐藤 孝夫
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抄録

樹木の成長フェノロジーは、生育地における資源利用効率などを最適化するように進化している。成長フェノロジーには樹種間差があるが、種間差がどのような特徴により類型可能かを明らかにすることで、樹木という生物群の成長に影響力が大きい要因を理解することができる。成長フェノロジーの種間差を類型する要因について、地上部については多樹種を対象に検証した研究が豊富にある一方、地下部についてそうした知見は限られる。本研究では、冷温帯林を構成する42樹種の実生について調べられた枝および細根の成長開始時期、終了時期、生育期間の長さのデータを解析し、様々な特徴について細根のフェノロジーの種間差を類型可能かを検証するとともに、枝フェノロジーとの関係を調べた。枝の成長フェノロジーの種間差は葉寿命と遷移段階によって類型化できた一方、細根フェノロジーの樹種間差は、葉寿命の違いのみで類型化できた。細根の成長は葉で作り出される有機物に依存しており、得られた結果は、冷温帯樹木の成長フェノロジーは、一次的には地上部の炭素獲得により決定されていること、枝と細根のフェノロジーは部分的に異なる要因に影響を受けて進化したことを示唆する。

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