オゾン(O3)は樹木に悪影響を与える大気汚染物質である。定常的な光環境における純光合成速度(A)のO3による低下が、高CO2で抑制されることが報告されてきた。しかし、変動光へのAの応答に対するO3と高CO2の複合影響は調査されていない。そこでブナ苗に対する2成長期間のO3と高CO2の複合暴露を行い、変動光に対する光合成応答を調べた。まず、50 µmol m-2 s-1の光合成有効放射束密度(PPFD、弱光)で定常状態のAを測定した。PPFDを1000 µmol m-2 s-1(強光)に切り替え、Aの推移を定常状態になるまで記録した(光合成誘導)。その後、弱光4分と強光1分を5回反復し(変動光処理)、Aの推移を記録した。定常状態のAはO3によって低下し、その低下は高CO2で抑制された。光合成誘導におけるAの増加はO3で遅延し、高CO2で促進された。いずれの処理区においても、変動光処理の反復に伴って強光時のAは低下し続けた。この強光時のAの低下はO3および高CO2によって促進された。光合成誘導および変動光処理のいずれのAの応答に対してもO3と高CO2の有意な交互作用は認められなかった。以上より、ブナ苗の光合成に対するO3と高CO2の複合影響は定常光と変動光で異なることが明らかになった。