主催: 一般社団法人日本森林学会
会議名: 第133回日本森林学会大会
回次: 133
開催地: 山形大学によるオンライン開催
開催日: 2022/03/27 - 2022/03/29
各地でサプライチェーンの効率化に向けた取組みが進められており、中間土場の導入や移動式チッパーの活用も広がっている。こうした取組みは木質バイオマス利用におけるライフサイクルGHG排出量の低減に貢献すると想定されるが、これまで定量的な評価はされていない。
そこで、本研究では6パターンのサプライチェーンを想定し、文献調査や事業者ヒアリングなどの実態調査に基づき条件を設定した上で、伐採工程から需要施設到着までのGHG排出量(g-CO2/MJ)を試算した。
その結果、チップの場合、輸送距離30km程度まではGHG排出量に明確な差は生じなかった。輸送距離が30kmを上回る場合には、輸送距離に応じてサプライチェーンによる差が大きくなった。最もGHG排出量が低くなったのは、施業地付近に中間土場を設け、需要施設に併設する加工施設でチップ化するパターンであり、100km輸送した場合、チップ加工施設を経由するパターンと比較して、最大で約2割の低減が期待できる結果となった。これは中間土場の利用によって、原木乾燥による低位発熱量の向上と大型トラックによる輸送の効率化が要因であった。