2019年に施行された森林経営管理制度の運用において市町村の業務負担増加・人員不足が指摘されている。その対応策として広域連携が期待されているが、その連携構造や導入による各主体への影響に関する研究は見当たらない。本研究では、本制度における広域連携の役割及び各主体の連携構造の解明を目的に、本制度を運用する専門組織を設立して1市4町を核に多様な主体が連携する埼玉県秩父地域を対象に、埼玉県や1市4町、森林組合、林業事業体の担当者、また自伐型林業家、森林所有者へ聞き取り調査を行った。その結果、広域連携の役割では秩父市と集約化推進員が制度運用の中核を担い、連携構造では4町が自らの計画策定、埼玉県は助言やサポート、林業事業体は施業実施を行っていた。広域連携の結果として、4町における業務負担軽減、全体としての経費削減、情報アクセスの効率化、ノウハウの蓄積、運用の進展、小規模林業事業体の施業地確保、森林所有者の森林管理意識の向上等が見られた。他方、課題として秩父市の業務負担増加、出向元団体の業務量増加が見られた。以上から、本制度における広域連携の導入は総じて市町村の業務負担軽減に貢献すると推察された。