日本小児外科学会雑誌
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症例報告
腹壁破裂と出生前診断された臍腸管瘻の外翻を合併した破裂型臍帯ヘルニアの1例
海野 彩梅山 知成堀江 貴哉出縄 康次大泉 亮太郎浅見 愛乃小松崎 尚子森 昌玄渡辺 稔彦
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2025 年 61 巻 1 号 p. 61-65

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抄録

症例は在胎35週に臍帯付着部から羊水腔への腸管脱出が指摘され腹壁破裂と出生前診断された.在胎36週4日,体重2,052 gで男児として出生.臍帯付着部の近傍に羊膜が残存しており腸管が外翻していた.生後4時間で手術を行い,外翻していた腸管を整復すると臍帯と交通する臍腸管瘻を認め,同部から肛門側腸管が外翻していたため臍腸管瘻を合併した臍帯ヘルニアと診断した.臍腸管瘻を含む腸管を部分切除して端々吻合した.腸管の浮腫を認めていたが腹腔内へ還納できたため一期的に腹壁閉鎖術を施行した.本症例の病態として,臍腸管瘻を通じて回腸が外翻して羊水腔へ脱出することで,腸管の通過障害が生じて口側腸管が拡張し,臍帯ヘルニアのヘルニア囊が破裂したと考えられた.出生前に診断することが難しい稀有な病態で,腹壁破裂と出生前に診断されたケースの中には,自験例のような臍帯ヘルニアのバリエーションがあることを念頭において臨むことが肝要と思われたため文献的考察を加えて報告した.

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