日本森林学会大会発表データベース
第134回日本森林学会大会
セッションID: S2-4
会議情報

学術講演集原稿
ハウチワカエデ紅葉期のアントシアニンの挙動と役割
*北尾 光俊, 矢崎 健一, 飛田 博順, 岸本 純子, 高林 厚史, 田中 亮一
著者情報
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録

紅葉期のアントシアニンの役割を明らかにするため,ハウチワカエデ成木樹冠内の生育光環境が異なる葉を対象として,光合成色素,窒素含量,糖・デンプン含量,光合成特性の季節変化を調べた。樹冠表層南向き(強光),樹冠表層北向き(中間の光強度),樹冠内部北向き(弱光)の3か所に生育する葉を選び測定を行った。乾重当たりの窒素含量は光環境によらず,すべての葉で同じタイミングで同程度の低下を示した。光阻害の指標となるFv/Fmの低下についても光環境による違いは見られず,すべての葉で窒素を回収した後に光阻害が認められた。また,糖:(糖+デンプン)比もすべての葉で等しく秋季の上昇傾向を示し,窒素の回収が本格化するタイミングでデンプンはほぼ消失していた。樹冠表層の葉ではデンプンが消失した後にアントシアニン濃度が急上昇すること,アントシアニン濃度の上昇に対して糖濃度が頭打ちになることから,アントシアニンがデンプンの代替として糖濃度の上昇を抑制している可能性が示唆された。糖濃度の上昇は葉の老化を促進することが知られている。アントシアニンは糖濃度を制御することで,樹冠表層の葉の早期落葉防止に貢献していると考えられる。

著者関連情報
© 2023 日本森林学会
前の記事 次の記事
feedback
Top