日本臨床外科学会雑誌
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症例
腹腔鏡下修復術を行った誤飲義歯を嵌頓小腸内に認めた鼠径ヘルニアの1例
岩田 乃理子伊藤 その野谷 啓之大石 陽子安野 正道中嶋 昭
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2019 年 80 巻 10 号 p. 1897-1902

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抄録

症例は76歳,男性.脳梗塞にてリハビリテーション科に入院中であったが,腹痛・左鼠径部膨隆を主訴に当科紹介となった.腹骨盤部CTを施行したところ,左鼠径ヘルニア嵌頓と嵌頓小腸内に異物と思われる高吸収域を認めた.緊急で施行した腹腔鏡下手術にて腹腔内を観察すると,左内鼠径輪に小腸が嵌頓していた.腹腔鏡下に嵌頓小腸を愛護的に腹腔内へ還納し,内鼠径輪縫縮にてヘルニア修復を行った.また,色調不良な嵌頓小腸を部分切除したところ,摘出した小腸内に有鈎義歯を認めた.本症例のような義歯誤飲による鼠径ヘルニア嵌頓に対し腹腔鏡下ヘルニア修復術を行った症例は過去に報告がなく貴重な症例を経験したので,若干の文献的考察を加え報告する.

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© 2019 日本臨床外科学会
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