抄録
本文では, ファジィインフォメーショングラニュレーション(fuzzy Information Granulation; fuzzy IG)による, 頭部MR画像からの脳領域抽出の為の濃度しきい値発見法を提案する.Fuzzy IGとは, Zadehが提唱する新しい概念である.ファジィ情報(fuzzy information)は, 幾つかのファジィグラニュール(fuzzy granule)で構成され, fuzzy IGによってfuzzy informationからfuzzy granuleが引き出される.本手法では, fuzzy informationを濃度ヒストグラムとして, fuzzy granuleを脳を構成する白質部, 灰白質部, 脳脊髄液のヒストグラム上のピークとする.Fuzzy IGは, 医師の知識をモデル化したヒストグラムと, 画像の濃度ヒストグラムとのファジィマッチングによって行う.得られたしきい値を用いて自動抽出した脳体積と, 手動で得られた体積とを, 50例のMR画像に対して比較した結果, 平均誤差率は2.3%であった.