1999 年 11 巻 2 号 p. 328-337
この論文では、我々が開発したルックアップテーブル(LUT)方式ファジィ制御器のオートチューニング方法について報告する。パッケージエアコン(PAC)のファジィ冷媒制御では、多様な制御対象に対して制御器を適応的に変更することが制御性能を向上する点で望ましい。しかし、ファジィ制御器にはLUTを採用しているため、メンバーシップ関数や制御ルールを直接変更する従来のオートチューニング方法をこの適応機能付加の対策として利用することは困難であった。そこで、我々はスケーリングファクタ(SF)と重み係数(WF)という2種類の補正係数を利用したLUT方式ファジィ制御器用のオートチューニング方法を開発した。ニューラルネットワークを用いて最適なSFの値を決定後、プロダクションルールによるWFの調整を徐々に繰り返す方法で、制御対象の広い範囲に適応できることが特徴である。本論文では、この方法について具体的に説明し、シミュレーションによるその評価結果を示す。多くの家電機器でファジィ制御が利用されているが、それらもPACのファジィ冷媒制御と同様の課題を抱えている。従って、得られたLUT方式ファジィ制御器用のオートチューニング方法は、そのような他の家電機器にも適用できる重要な技術であると言える。