日本ファジィ学会誌
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目的関数の係数ベクトルが凸多面体で表された線形計画問題における可能的最適端点の列挙
乾口 雅弘東谷 英貴谷野 哲三
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2000 年 12 巻 1 号 p. 169-175

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抄録
本研究では, 目的関数の係数ベクトルが凸多面体に制限された線形計画問題が取り扱われる.この問題では, 従来の区間係数をもった線形計画問題では取り扱えなかった不明確な係数間の相互関係(従属性)を取り扱うことができる.目的関数の係数が不明確な線形計画問題に対して, 可能的最適解と必然的最適解が定義できる.必然的最適解は最も合理的な解である反面, 存在しない場合が多い.一方, 可能的最適解は最低限の合理性を満たす解であり, 通常, 無数に存在する.任意の可能的最適解は可能的最適端点の凸結合で表されるので, 可能的最適端点をすべて列挙することは, 合理的な解の存在範囲を知る上で重要となる.そこで, 可能的最適端点を列挙する方法を議論する.可能的最適解集合はある多目的線形計画問題の弱有効解集合と一致することが示される.これにより, ある可能的最適基底解から隣接する基底解をたどることにより, すべての可能的最適端点を列挙することが可能となる.この際, 隣接する基底解の可能的最適性テストが必要になる.この可能的最適性テスト問題が線形計画問題となることが示され, 可能的最適端点の列挙法が提案される.多くの応用例においては, 可能的最適端点集合を含む集合が得られれば十分である.与えられた凸多面体を包含する超直方体を求め, 区間係数の場合に提案されているSteuerの列挙法を用いれば, 可能的最適端点集合を含む集合を求めることができる.提案列挙法の有用性を確認するため, 提案列挙法と凸多面体を包含する超直方体を用いたSteuerの列挙法とを数値実験により比較する.結果として, 提案列挙法がより効率的であることが示される.
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© 2000 日本知能情報ファジィ学会
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