抄録
経営システムや社会システムなど人間を含むシステムにおいては, 取り扱うデータが人間の主観的あいまいさを含む場合が多い.本論文では, 2群から得られるこれらのあいまいなデータによる1変数および2変数の場合の判別関数の推定について, 最尤推定法を用いて考察している.通常の観測では, できるだけ正確な値を観測することが望ましいと考えられるが, あいまいさを含むデータを取り扱う場合は, あいまいな区間として分類されるような区間データとして事象が観測されると考えるほうがより現実的である.そこで本論文では, Zadeh のファジィ事象の確率概念を用いてファジィデータを定義し, このファジィデータに基づいて, 通常の統計的な計算によって判別関数の係数を推定する方法を提案している.さらに, より現実的な状況のもとでのシミュレーションを行い, ここで導いた方法の有用性について検討している.その結果, ある程度の実用性のあることが明らかとなっている.