日本ファジィ学会誌
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角型構造の大規模線形計画問題に対する凸ファジィ決定に基づくファジィ満足化手法
坂和 正敏乾口 雅弘澤田 一哉
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1993 年 5 巻 3 号 p. 516-527

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抄録

1960年代の初めに, Dantzig-Wolfeが, 角型構造の大規模線形計画問題に対する分解原理を提案して以来, 特殊構造をした大規模数理計画問題に対する数多くの研究が, 活発に行われるようになってきている.しかし, 人間の判断のあいまい性を考慮すれば, 意思決定者は, 角型構造の大規模線形計画問題として定式化された問題の目的関数や結合制約式に対して, ファジィ目標やファジィ制約をもつものと考える方が, より適切であると思われる.このような観点から, 本研究では, 角型構造の大規模線形計画問題に焦点をあて, 意思決定者のファジィ目標とファジィ制約を考慮した意思決定者の満足解を容易に導くための新しい手法を提案する.提案する手法では, 意思決定者との対話により, 意思決定者のファジィ目標とファジィ制約を線形のメンバシップ関数で規定し, ファジィ目標とファジィ制約を統合するというファジィ決定として, 凸ファジィ決定を採用する.このとき, ある特別な条件を満たせば, 意思決定者の満足解は, Dantzig-Wolfeの分解原理を適用することなく, いくつかの完全に独立な小規模の線形計画部分問題を個別に解くことにより直ちに得られることが示される.さらに, その条件を満たさない場合にも, Dantzig-Wolfeの分解原理を適用して満足解が得られることが明らかにされる.

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© 1993 日本知能情報ファジィ学会
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