日本ファジィ学会誌
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最適性を考慮したファジィフィードバック制御
北條 達也寺野 寿郎増井 重弘
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1993 年 5 巻 5 号 p. 1200-1211,1250

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抄録
従来の制御理論は、制御偏差を除去することを目的とする古典制御と、積分型の評価値を最適にするような動作操作を求める現代制御とに分れ、両者は設計思想も構造も相異なり、融合することはなかった。一方、ファジィ制御もその大部分はPD制御をファジィ化したもので、古典制御の枠から出ていない。ファジィ動的計画の研究も多いが、フィードフォワード型であるため制御に利用することは困難である。だが、ファジィ制御は、本来目的もルールも自由に選ぶことができるので、両者の長所を組み合わせた制御系を設計することが可能なはずである。本論文は、状態量が目的値から離れた領域にある場合にはファジィ動的計画を利用して最短時間で目標値付近までもってゆく。そして、状態量が目標値に近づいたならば従来の安定性やオフセットを重視するファジィフィードバック制御ルールに切り換えるという新しい制御方法を提案する。最適制御の方法は、まず位相面を離散化し、各状態に対して言語的に表現された目標および制約をもった離散型のファジィ動的計画を構成し、これによって最適なコントローラ出力を求める。次に状態量を入力とするファジィルールとしてこれを表現する。これにより、ほぼ最適なフィードバック制御ルールが得られる。このようにして設計された制御系をシミュレーション実験したところ、非常によい制御結果が得られた。また、ここで得られたフィードバック制御ルールは、ファジィスライディングモード制御とよく似た性質をもっていることが確かめられた。
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© 1993 日本知能情報ファジィ学会
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