抄録
本論文では、ファジィ制御の実用化に関する実践的研究について論じる。まず、従来制御の課題とファジィ制御の適用状況を考察し、プロセス制御において「制御の無人化」から「オペレータを主体とした制御システム」の必要性を論じる。この課題に応えるために、オペレータの操作事例を用いた制御規則設計、最適化、検査、評価を行う方法を提案し、その支援ツール化および日本で最初に実用化したファジィコントローラについて述べる。次に、下水ポンプ場のポンプとゲートの適応制御、浄水場の薬品注入率制御、天井クレーンの位置決め・振れ止め制御、オープンショーケースの蒸発器の着霜状態推定へのファジィ制御の適用について論じる。そして、ファジィ制御が状況に応じた多目的制御、フィールドバック動作と予測動作の協調制御、相反する操作の協調制御および間接情報を用いた状態推定に有効なことを示す。