行動医学研究
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原著
健康診査・検診受診行動に関する行動の変容ステージと意思決定のバランス
長塚 美和荒井 弘和平井 啓
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2010 年 15 巻 2 号 p. 61-68

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抄録
本研究では、行動変容の準備性に注目したトランスセオレティカルモデル(Transtheoretical Model: TTM)を適用して、健康診査(健診)・検診受診行動の変容ステージにおける分布を明らかにし、健診・検診受診行動と健診・検診受診行動に関する意思決定のバランス(行動を変容させることに伴う恩恵と負担に対する評価のバランス)との関連を検討した。無記名の郵送法による横断的質問紙調査を行い、40歳以上の男女503名を分析対象者とした。その結果、対象者の6割が健診・検診を定期的に受診している維持期に属していた。また逆戻りリスク期以外においては健診・検診受診行動の変容ステージが高い対象者ほど恩恵の評価が高くなり、負担の評価が低くなることが明らかになり、一般的なTTMの理論的枠組みと一致した。以上のことから、行動の変容ステージや行動に関する恩恵や負担に注目することは重要であり、TTMを利用して健診・検診を受診することを促すアプローチを考えていくことが期待される。
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© 2010 日本行動医学会
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