抄録
自然環境を扱う場合、都道府県などの行政区分はファジィ集合と考えられる。例えば、福島県の単位面積あたりの米の生産量を推定する式が、茨城県のコメの生産量の予測にもいくらか役立つことがある。そのことを利用して、福島県のデータと茨城県のデータの両方に対していくらかずつ有効であるような重回帰式を重みつき残差二乗和の最小化によって求めた。そして、クロス・バリデーションを用いて、この重みを調整して重回帰式を求めたところ、福島県のデータだけを使って場合に比べて予測精度が向上した。この方法は、リッジ回帰やスムージィング・スプラインと同様のバイアス回帰の一種と見なすこともできる。しかし、どのようなデータをファジィな類似性があるデータとみなすのか、ニューラル・ネットワークのような非線形な回帰にどのように応用できるのか、などについては今後の議論を待たなければならない。