日本ファジィ学会誌
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無限値しきい値関数の数学的性質と多段結合
山本 喜則
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1997 年 9 巻 4 号 p. 560-569

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抄録
著者はAND, OR, NOTと算術四則を用いるある種の連続論理演算系上で、近似推論に応用できる関数 : 無限多値しきい値関数を定義し、従来のMax-Min-重心法や簡略型推論より、この無限多値しきい値関数を利用する近似推論法がかなり高速であることや、プロセス制御シミュレーションにおける安定性、理論面での基本性質、非線形近似推論規則への応用方法・限界などを論じてきた。しかしながら、特に非線形近似推論規則を無限多値しきい値関数でどのように関数表現するかは、多重しきい値無限多値しきい値関数を用いる以外に方法がなく、それも一定の限界があった。本報告はこうした理由により、まず無限多値しきい値関数の数学的な基本性質を中心に論じる。本報告では定義域、値域を共に区間[0,1]とした無限多値しきい値関数を改めてファジィしきい値関数と名付け、主にファジィしきい値関数について論じる。次に、離散入力のとき離散出力しきい値関数と同じ出力を持つファジィしきい値関数を取り上げて必要十分条件を示し、このファジィしきい値関数と応用に直結するいくつかの多値論理関数との関係を明らかにする。さらにこれらの考察を踏まえて、無限多値しきい値関数を多段結合してどのような関数が合成できるかについて議論し、前論文で指摘した非線形な変化をする近似推論規則表の表現への応用可能性を探る。最後にもう一つの応用として、アナログ値全加算器を無限多値しきい値素子で構成し、リップルキャリ方式でのアナログ加算器の構成を示す。
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© 1997 日本知能情報ファジィ学会
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