機能水研究
Online ISSN : 2759-551X
Print ISSN : 1348-2432
アルカリイオン整水器の構造と機能について
田中 喜典
著者情報
ジャーナル フリー

2017 年 12 巻 2 号 p. 29-34

詳細
抄録
アルカリイオン整水器とは、JIS T 2004に規定されている家庭用電解水生成器 を指し、飲用適の水(水道法水質基準に関する省令に適合する水道水)を電気分解することによりpH 9~10の飲用アルカリ性電解水(アルカリイオン水)を生成する。なお、家庭用電解水生成器とは、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(以下、薬機等法という)施行令別表第一において「器具器械83 医療用物質生成器」に分類される家庭用医療機器の呼称である。 2002年発足の日本機能水学会では、現在の水素水ブームに伴って水素の生理学的効果研究が盛んになる以前からアルカリイオン水研究者らにより、溶存水素の作用、電解による溶存過程が研究報告されている。近年その成果を鑑み、「アルカリイオン水が、水素を含むこと、水素が効果要因として有力であること、酸化還元電位が低くなること(還元状態)、生成してすぐに飲用すること」を踏まえてアルカリイオン整水器協議会では、アルカリイオン水の商品名として電解水素水、還元水素水、電解還元水等と呼ぶことを容認するに至っている。 近年の業界全体の総出荷台数は、薬事工業生産動態統計(厚生労働省医政局)によると、年間約20万台との報告もあり、広く一般家庭で使用されている。アルカリイオン整水器の主機能となる水電解部分に用いられる電極は白金、または白金族酸化物触媒を電極触媒物質としてチタンに被覆した不溶性の電極であり、ソーダ工業会、電解科学技術委員会主導のもと、工業電解として発展してきた電解技術がB to Cへの技術展開により、一般家庭を含めた一般消費者に様々な恩恵を与えた一例である。 このように、アルカリイオン整水器は様々な分野の国内研究者の研究に支えられて有効性の研究、電解技術の研究開発が進み、1966年の医療用具認可より50年を経過しており、2016年に京都で開催された日本機能水学会第15回学術大会では記念セッションが組まれた。 アルカリイオン整水器には連続式と貯槽式があるが、本稿では連続式アルカリイオン整水器の構造と機能について解説する。
著者関連情報
© 2017 日本機能水学会
次の記事
feedback
Top