抄録
酸性電解水の殺菌要因としての酸化還元電位の妥当性について検討した。そのために必要な事項として、物質の構造と化学反応、酸化と還元、酸化還元電位のお意味と測定法、ネルンストの式、pH、電位-pH図、有効塩素濃度について解説した。
酸性電解水模擬液を用いての実験結果をもとにした考察から、酸性電解水の殺菌要因に関して以下の結論を得た。(1)主にHOCl態及びCl2態の有効塩素に依存する(酸性領域では有効塩素濃度に置き換えられる)。(2)pHは、HOCl態およびCl2態の有効塩素の存在比に影響する形で関与するだけで、殺菌力には直接影響しない。(3)酸化還元電位(ORP)が直接関与することはない。