微生物に対する電解水の殺菌効果は数多く報告され、歯科領域においてもさまざまな分野で応用されている。細胞培養実験において手指や口腔内の常在菌ならびに器具などに付着している最近によりしばしばコンタミネーションが起き、これが培養細胞の死につながる大きな問題となっている。本研究において、手指の常在菌の一つである
Staphylococcus aureus (S. aureus) に対する微酸性電解水(MOW)の殺菌効果について多目的溶存酸素測定装置(ダイキン(株)、DOX-10)を用いて検索した。
供試菌株
(S. aureus)を用い、DOX-10にて120分間、MOWの殺菌効果を溶存酸素量の変化を指標として測定した。測定後、
(S. aureus)の懸濁液中の菌数の算定のためにBHI寒天培地に
(S. aureus)の懸濁液を播種し、コロニー数の測定を行った。
本研究の結果より、MOWは
(S. aureus)に対し、ほぼ完全なる殺菌効果が得られることが判明した。細菌菌数と殺菌効力の相関においては、細菌数が少ないほどMOWの殺菌効果は強く、少なくとも120分間は持続的な殺菌効果が得られた。
本研究の結果より、あらかじめ手洗いや含嗽、器具洗いなどを行い、細菌数を減少させた後、MOWを用いることにより、さらなる殺菌効果が得られ、より確実な細菌培養実験につながると考えられた。
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