2025 年 9 巻 1 号 p. 25-34
早期胃癌に対するESDで治癒切除が得られ胃が温存された症例でも,その後外科的胃切除を要することがある.そのような症例の頻度や特徴は明らかでなく,2007年から2017年に当院で胃ESDを受け治癒切除となった症例について検討した.886例中23例(2.6%)で胃切除を要していた.17例がESD後発見の胃癌に対する胃切除で,理由として多発病変の見逃し,検査間隔の延長などがあった.6例はその他の理由による胃切除であった.胃切除と関連する因子は同定できなかった.5年胃温存生存率は95.0%であった.ESD後に質の高い内視鏡検査を継続するとともに,外科的胃切除を要する症例の存在を認識することも重要である.