日本庭園学会誌
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朝鮮時代の上流住宅・演慶堂における建築・庭園の空間構成と柱聯の関係について
張 美娥藤井 英二郎
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2007 年 2007 巻 17 号 p. 55-69

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抄録
本研究は建物の柱に掛けられている柱聯を対象に、それらの形状や対句の内容・書体・配置などを分析し、それらと建物・庭園の空間構成の関わりを検討したものである。調査対象としては上流住宅の演慶堂を選定した。各々の建物における柱聯の特徴は、舎廊棟と内棟では頌辞を記した内容の柱聯が半分以上を占めている。書斎である善香斎と亭子の濃繍亭では、前者が訓辞、後者が宴の情景を記した柱聯が多い。このように柱聯に書かれた対句の内容はそれぞれの建物の性格を表している。建物の内部空間と柱聯の関係は舎廊大庁や内大庁、善香斎の大庁などの大庁の空間には統治への志や頌辞、戒めなどの公式性格の柱聯が掛かるのに対して、楼マル・楼タラクには風雅的性格を合わせ持った柱聯が掛かる。舎廊房、善香斎のオンドル房、越房などのオンドル房に掛かる柱聯の内容はより私的な性格を持っている。以上のように、柱聯は建物・庭園の性格や、その使い方を明確に示すものであることがわかった。
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