日本の町内会・自治会(以下、町内会と総称する)は、市町村より狭い範囲で住民の高い加入率を背景に、様々な役割を担っている。しかし現在、都市部において加入率が徐々に低下し、町内会を通した政策実現や、地域自治が難しくなりつつある。町内会の存在根拠や存在価値について、これまで種々の見解が提起されてきたが、いずれも現在の町内会のあり方を完全に説明できるものではない。したがって明確な町内会の役割や位置づけの定義、今後のありかたについて指針を与えるものにはなってはいない。本稿では町内会の背景として、農業と水利の歴史を導入して、町内会の集団原理にをとらえると共に、水利の視点から、町内会の存在根拠や存在価値についての過去の見解の妥当性を検証している。 そのうえで今後の町内会の存続に関して論じている