抄録
広島市周辺では,平成26年8月に台風12,11号や8月20日の豪雨等により,気象庁の観測所で8月の総雨量としては観測史上4番目に多い降雨を観測した。筆者らは,広島県廿日市市の自然斜面で降雨量,土壌水分吸引水頭,体積含水率,地下水位,斜面内のせん断変形および側方流を観測しているが,本報告では,平成26年8月の降雨条件下で得られた観測結果を報告するとともに,降雨強度や土壌水分状態の違いによる降雨浸透や斜面変形の比較を行った。この結果,降雨に伴う体積含水率の増加量は,降雨前の土壌が乾燥状態のほうが大きく,側方流量も体積含水率の増加量が大きい乾燥状態のほうが多いことが分かった。また,せん断変形も,土壌水分吸引水頭や体積含水率の変化が大きく変化する際に生じ,降雨前に土壌が乾燥状態である場合のほうが湿潤状態に比べて大きくなる。ただし,小規模降雨によるせん断変形は,降雨終了後の乾燥過程で戻る挙動を示すことも分かった。