2020 年 15 巻 1 号 p. 25-38
近年,エネルギーに基づく新しい液状化判定法の開発・実用化に向けた研究が活発に進められている。この手法について検討する上では,液状化進行過程における土の各種状態量と累積損失エネルギーの間の一意性を見い出せるか否かがポイントとなるが,再構成試料に比べて多様性を有する原位置採取試料を対象とした系統的な研究事例が少ない。本報では,多種多様な原位置採取試料の繰返し三軸液状化試験データを対象として,累積損失エネルギーとFL法で用いられる液状化強度比,さらにN1値との関係について分析を行った。その結果,繰返し三軸試験では伸張側にひずみが蓄積する特性により一見して一意性がないように見える累積損失エネルギーではあるが,それに補正を加えることにより応力振幅や繰返し回数に関わらず液状化強度比とほぼ一意的関係があることを見出した。一連の検討から得られた関係式は,土の密度・粒度・コンシステンシー・年代効果などに依らず,エネルギーによる液状化判定に適用できる。