2009年7月21日の中国・九州北部豪雨災害では,山口市と防府市の境界付近を中心に土石流が多発した。この土石流発生斜面を観察すると,花崗岩の堅岩が露出し,源頭部にはまさ土化した風化残積土が薄く分布しており,特に基盤岩と風化土層との間の透水性の差異がうかがえた。本研究では,これらの特徴を再現した非定常FEM浸透流解析を行った。また,実物大の実験モデル斜面を造成し,裸地斜面と不織布フィルターを敷設した条件で降雨実験を行った。双方の結果を総合的に検討したところ,高透水性の粗粒層がまさ土層と不透水層の間に存在することによって,地下浸透と層間地下水流の影響で間隙水圧の急激な上昇が発生し,ボイリングが起きることが崩壊の原因になることが明らかになった。また,不織布フィルターの豪雨時浸透抑制効果が確認された。