2020 年 15 巻 3 号 p. 573-580
最終処分場の新規建設が難しい現在において,主要埋立物である焼却主灰のリサイクルは喫緊の課題である。本研究では,焼却主灰を土木資材としてリサイクルすることを目指し,散水と炭酸化による安定化促進処理が主灰の力学・溶出特性に及ぼす影響と他の資材との混合材料化方法について検討を行った。試験では全国6カ所の焼却主灰を用いて,カラム試験にて散水・炭酸化処理の溶出特性への影響について調べ,うち1カ所の主灰を用いて,力学特性へ及ぼす影響についても調査を行った。結果として,炭酸化によりPbの溶出抑制効果が確認された一方で,Cr(VI)の溶出増加の傾向が示された。また力学特性への影響として,修正CBR値の低下が示唆された。そこで本研究ではこれらの課題に対して,焼却主灰との混合材料として,鉄剤や再生砂等の副資材の効果ついても検討・考察を行った。