地盤工学ジャーナル
Online ISSN : 1880-6341
ISSN-L : 1880-6341
15 巻 , 3 号
選択された号の論文の25件中1~25を表示しています
特集号
  • 乾 徹
    2020 年 15 巻 3 号 p. 419-420
    発行日: 2020/09/30
    公開日: 2020/09/30
    ジャーナル フリー

    本文は,第13回環境地盤工学シンポジウムの投稿論文から選定された論文を収録した地盤工学ジャーナル 環境地盤工学特集号の発行にあたり,発行の経緯と編集方針を巻頭言としてまとめたものである。

  • 菊池 喜昭, 平尾 隆行, 竹本 誠, 喜古 真次, 野村 理樹, 兵動 太一, 野田 翔平
    2020 年 15 巻 3 号 p. 421-433
    発行日: 2020/09/30
    公開日: 2020/09/30
    ジャーナル フリー

    粘性土地盤上に立地する管理型海面廃棄物処分場の底面の遮水には遮水シートを用いるのではなく,粘性土地盤を用いることが多い。このように遮水シートを敷設しないため,処分場の跡地利用にあたり杭を打設することが可能である。この場合,杭を打設する際に杭面側面の遮水性と杭打設時の廃棄物連込み挙動が問題となる。廃棄物処分場に投棄される廃棄物は多種多様であるが,ここでは,杭打設時の主として粒状の廃棄物連込み挙動に着目して,模型実験によりその挙動を観察した。実験では杭先端形状,粘土地盤の圧密圧力,粒状廃棄物の粒径の違いに着目して実験を行った。その結果,杭先端形状を変えることで,連れ込む廃棄物の量を少なくすることが可能であることを明らかにした。

  • 板谷 裕輝, 國西 健史
    2020 年 15 巻 3 号 p. 435-440
    発行日: 2020/09/30
    公開日: 2020/09/30
    ジャーナル フリー

    本研究は、黄鉄鉱を含有トンネル掘削ずりから溶出するセレンを不溶化出来る資材の開発を目的とし各種検討を行った。セレンは、トンネル掘削ずりからSe (Ⅳ)及び (Ⅵ)の形態として溶出することが確認された。焼成ドロマイト系不溶化材では、ドロマイトの焼成度合に比例しセレン不溶化性能が向上し、Se (Ⅳ)だけでなく、Se (Ⅵ)に対する不溶化性能も有していた。Se (Ⅵ)不溶化性能は、ずり構成成分と不溶化材の構成成分の反応により水和物が生成し、これにSe (Ⅵ)の収着もしくは取り込みにより発現している可能性が高いと考えられる。

  • -亜ヒ酸及びヒ酸の溶出挙動について-
    杉田 創, 小熊 輝美, 張 銘, 原 淳子, 川辺 能成
    2020 年 15 巻 3 号 p. 441-453
    発行日: 2020/09/30
    公開日: 2020/09/30
    ジャーナル フリー

    ヒ素汚染水の浄化に利用された吸着材が環境中に廃棄された場合,様々なpHの溶液と接触する可能性がある。本研究は,使用済Mg系及びCa系吸着材(MgO,Mg(OH)2,CaO及びCa(OH)2)の環境安定性に及ぼす溶液pHの影響を評価することを目的とする。亜ヒ酸またはヒ酸を吸着させた使用済吸着材を作製し,pHを調整した溶液と混合して振とう試験(溶出試験)を実施した。その結果,いずれの使用済吸着材についても,ヒ酸よりも亜ヒ酸の方が溶出しやすいことが明らかになった。そして,溶液pHが3〜11の試験において,ヒ素の価数に関わらず,Mg系吸着材の方がCa系吸着材よりも高い環境安定性を持つことが示された。一方,溶液pHが12の場合,亜ヒ酸に関しては,Ca系吸着材の方がMg系吸着材よりも高い環境安定性を持つと評価された。

  • 河村 大樹, 石森 洋行
    2020 年 15 巻 3 号 p. 455-463
    発行日: 2020/09/30
    公開日: 2020/09/30
    ジャーナル フリー

    バイオパイル工法の性能評価を行うために模擬汚染土壌を用いた実証試験を実施したところ,盛土内部に所要の酸素が供給できず,土中酸素濃度は時間とともに低下した。この原因には通気管と土壌の境界面で確認された短絡(壁面流れ)が影響し,必要な酸素量が供給できなかったと考えた。この仮説を検証するために本研究では,通気管と土壌層の境界面の短絡を境界条件で表現したシミュレーションによって,バイオパイル内の流れ場と酸素輸送に及ぼす影響を明らかにした。その結果,実証試験で記録された酸素濃度の低下は,短絡が支配的な原因であることがわかった。この短絡を防ぐことで,短絡がある場合より少ない吸引量で盛土内を所要の酸素濃度に維持することができた。また短絡を防ぐことで,処理可能な土量を約3倍に増やせることがわかった。

  • 大山 将
    2020 年 15 巻 3 号 p. 465-470
    発行日: 2020/09/30
    公開日: 2020/09/30
    ジャーナル フリー

    水銀汚染土壌(模擬汚染土壌および実際の汚染土壌)に対して,酸化マグネシウム系材料(マグネシウム系固化材)および高炉セメントB種により不溶化処理を検討した室内試験の結果および不溶化処理土の長期溶出挙動の観察結果について報告する。水銀溶出量によっては助剤の併用が必要であるが,マグネシウム系固化材は水銀に対して安定して高い不溶化効果が長期間持続することが最長10年の観察により確認された。高炉セメントB種についても,水銀に対して一定の不溶化効果を発揮すること,材齢の進行により不溶化効果が増加すること,中性化(pH低下)により不溶化効果が低下する可能性があることを示した。

  • 篠原 智志, 河合 達司, 石神 大輔, 川端 淳一, 佐藤 毅, 久田 真, 皆川 浩, 宮本 慎太郎
    2020 年 15 巻 3 号 p. 471-478
    発行日: 2020/09/30
    公開日: 2020/09/30
    ジャーナル フリー

    廃棄物などの再利用に際して課題となる重金属等の長期的な溶出リスクに関する知見を収集することを目的として,高炉セメントによって造粒固化した焼却灰造粒固化物を対象に雨水曝露試験を実施した。約5年間試験を継続した結果,六価クロム・鉛・ヒ素・セレン・フッ素・ホウ素の溶出量が地下水の汚濁に係る環境基準を満足した。一方で,セメント水和物の消失などに伴ってホウ素の溶出濃度が経時的に増加する傾向が明らかとなった。また,試料の長期的な劣化が重金属等の溶出に与える影響を個別に評価するために,促進炭酸化試験や粒径調整試験を実施した。その結果,炭酸化に伴ってホウ素の溶出量が増加することや試料径によって六価クロムの溶出量が増加すること,フッ素は炭酸化や試料径が溶出に与える影響が小さい傾向など,室内試験によっても重金属ごとに溶出促進要因を確認することができた。

  • -小型磁選機と鉄粉再生技術を導入した実規模試験-
    高畑 陽, 海野 円, 近藤 俊介, 根岸 昌範
    2020 年 15 巻 3 号 p. 479-486
    発行日: 2020/09/30
    公開日: 2020/09/30
    ジャーナル フリー

    泥水式シールド施工時に土丹層から発生した余剰泥水中の砒素濃度を低減するため,砒素吸着能がある鉄粉を泥水に混合し,鉄粉を磁選機で回収する実規模試験を行った。磁選機に小型ながら大容量の泥水を処理できるマグネットセパレータを用いて断続的に約1,200 m3の砒素汚染泥水を処理した結果,試験期間を通じてマグネットセパレータに流入する泥水中の鉄粉をほぼ全量回収できることを確認した。水理学的滞留時間が27分の鉄粉混合槽において砒素汚染泥水のpHを8.7以下で泥水を処理することで,液相の砒素濃度は平均で0.071 mg/Lから0.007 mg/Lまで低下した。鉄粉を理論上200回繰り返し使用した時点で1.0 Mのアスコルビン酸溶液を用いて鉄粉を再生処理した結果,砒素吸着速度は約3倍に回復し,鉄粉を繰り返し使用できることを実証した。

  • 安達 美佳, 加藤 雅彦
    2020 年 15 巻 3 号 p. 487-496
    発行日: 2020/09/30
    公開日: 2020/09/30
    ジャーナル フリー

    自然由来のヒ素を含む掘削岩とヒ素の収着能が異なる未汚染土壌を充填,連結した二段階カラム通水試験を行い,掘削岩から溶脱したヒ素の下位土壌への集積形態および化学的環境変動に伴う再放出性を明らかにすることを試みた。土壌のKdによらず掘削岩から溶脱したヒ素の大部分(94%)が下位土壌に流入後,速やかに易溶性ではあるが非水溶性の形態で集積し,下位土壌系外へ土壌環境基準値を上回ってヒ素は流出しなかった。下位土壌のKdによらず,海水と同濃度のNa+侵入,還元環境,pH弱酸性から中性,Caアルカリによるヒ素の再放出性は低く,植物のヒ素吸収濃度は高くならなかった。しかし,土壌のKdが低い場合,下位土壌の流出側にも易溶な形態でヒ素が集積していたため,再利用後の極端なpH 変動によってヒ素が再放出される危険性が示唆された。

  • 石森 洋行, 唐 佳潔, 中川 美加子, 肴倉 宏史
    2020 年 15 巻 3 号 p. 497-508
    発行日: 2020/09/30
    公開日: 2020/09/30
    ジャーナル フリー

    津波堆積物の環境安全性評価手法の開発を目的とし,溶出する金属元素のテーリング現象の予測を実用的なものにする非線形移流分散解析の簡易計算手法を提示した。液固比バッチ試験で得られる吸脱着パラメータを入力条件とし,移流分散方程式の理論解を応用することで,非線形式のFreundlich式やLangmuir式を用いた場合のカラム溶出試験の浸出水濃度の予測を,汎用の表計算ソフトを用いて実現した。ここで用いられる吸脱着パラメータを得るためには,液固比を変えたバッチ溶出試験が有効であることが確認された。さらにカラム出口における浸出水濃度を,有限要素解析と簡易計算手法の両面から比較したところ,簡易計算手法の精度は,本カラム溶出試験の場合で相対誤差7.0%以下と評価された。

  • 杉村 裕二, 篠崎 晴彦, 赤司 有三, 植松 尚大, 澁谷 啓, 片岡 沙都紀
    2020 年 15 巻 3 号 p. 509-517
    発行日: 2020/09/30
    公開日: 2020/09/30
    ジャーナル フリー

    特殊土である火山灰質細粒土,高有機質土等の工学特性は一般地盤材料と比べ大きく異なり,固化材混合により改良する際,特殊土中のアロフェン,有機物等の諸因子が固化反応を阻害することが知られている.既往の研究では,製鋼スラグの混合により,上記の阻害を抑制可能との報告もあるが,特殊土因子の含有量に応じた抑制効果を定量的に評価した研究事例は少ない.そこで本研究では,種々の特殊土因子をアルカリ吸着能という単一指標を用いて評価し,その大小に応じた製鋼スラグ混合土の化学および一軸圧縮強度特性を明らかにした.まず,複数の特殊土それぞれのアロフェンおよび有機物量とアルカリ吸着能の測定を行い,高い相関を確認した.次に,セメントに加え製鋼スラグを混合した場合,セメント単体混合土より一軸圧縮強度が大きくなり,その傾向はアルカリ吸着能が大きいほど顕著なことを明らかにした.

  • 出口 資門, 大嶺 聖
    2020 年 15 巻 3 号 p. 519-527
    発行日: 2020/09/30
    公開日: 2020/09/30
    ジャーナル フリー

    現在,原位置の強度を推定するための様々な試験法が開発されている。しかしながら,様々な材質や形状の材料が含まれる廃棄物地盤の強度をより簡便に推定するための試験法の開発が望まれている。本研究では原位置で簡易に強度定数を推定するための方法として,コーン貫入試験とスパイラル杭引抜試験を組合せた新しい手法を開発した。様々な地盤材料を対象に室内試験で従来の試験である一面せん断試験の結果と比較するとともに,国内外のプラスチック等を含む廃棄物処分場で現場試験を行い,その適用性を検討した。廃棄物地盤は様々なものが含まれているため,ばらつきはあるものの,現場で迅速に強度の概算値を求めるための簡易試験法としての有用性が示された。

  • 佐藤 伸, 大野 宏和, 棚井 憲治, 山本 修一, 深谷 正明, 志村 友行, 丹生屋 純夫
    2020 年 15 巻 3 号 p. 529-541
    発行日: 2020/09/30
    公開日: 2020/09/30
    ジャーナル フリー

    放射性廃棄物処分施設の再冠水時の熱・流体・応力連成挙動は,人工バリア内の間隙水の加熱により生じる水蒸気の影響を受けると考えられる。そこで,本検討では,幌延深地層研究センターで実施中の人工バリア性能確認試験を対象とした熱・流体・応力連成解析を実施し,水蒸気の発生による間隙圧力の上昇が人工バリアにどのような影響を及ぼすのか考察した。その結果,水蒸気の発生を考慮すると,ヒーター周辺の緩衝材の水分が気化することにより,飽和度が15%程度低下し,間隙空気圧の上昇とともに間隙率は10%程度増大する。このため,緩衝材の長期挙動評価のうち再冠水挙動を模擬するには,ヒーター近傍の温度上昇による水蒸気の発生影響を考慮する必要があることが分かった。

  • -環境保護面に優れたフィルダム堤体の耐震補強と漏水防止のための技術-
    福島 伸二, 北島 明, 谷 茂
    2020 年 15 巻 3 号 p. 543-549
    発行日: 2020/09/30
    公開日: 2020/09/30
    ジャーナル フリー

    砕・転圧盛土工法はフィルダムやため池の堤体改修を貯水池内に堆積した底泥土を固化改良して築堤土に有効利用して行う技術であり,固化改良土として初期固化土と砕・転圧土の二種類を取り扱うため室内配合試験では大量の試験を実施する必要がある。そこで,室内配合試験を費用対効果的に指針に規定された通りに実施しにくい小規模な堤体改修に適用する場合を対象に,室内配合試験を可能な限り省略できる簡略設計法を提案した。簡略設計法は,砕・転圧盛土工法により堤体改修を実施,あるいは計画中のフィルダムで実施した室内配合試験の結果をもとに組み立てたもので,詳細設計法の場合に比較すると,室内配合試験における試験実施数を2割程度までに削減できるものである。

  • 山本 菜月, 椋木 俊文, 塩田 絵里加, 佐藤 宇紘
    2020 年 15 巻 3 号 p. 551-561
    発行日: 2020/09/30
    公開日: 2020/09/30
    ジャーナル フリー

    本研究では, X線CTスキャナから得られた間隙画像を対象に,円形要素充填法を用いて二次元場の間隙構造を分析した.また同画像に二相流格子ボルツマン法を適用し,水―LNAPLの二相流In-situシミュレーションを実施した.ダルシ―流速と動粘性係数の積を界面張力で無次元したパラメータであるキャピラリー(Ca)数が10-4の流動条件では,流入口付近のLNAPLに作用する圧力は小さく,9 voxel未満の間隙までLNAPLが流入することがないことが分かった.またCa数が10-3の場合は流入口付近の圧力が増加し,Ca数が10-4の場合には流入が確認できなかった9 voxel未満の間隙においても流入が確認できた.間隙の大きさによってLNAPLが流入できるCa数が異なり,Ca数と間隙の大きさの関係が二相流動挙動において間隙中のLNAPLの残留及び浄化に影響を及ぼすことが明らかとなった.

  • 日野 良太, 三浦 俊彦, 福武 健一, 西田 憲司, 森下 智貴, 日笠山 徹巳, 江種 伸之
    2020 年 15 巻 3 号 p. 563-571
    発行日: 2020/09/30
    公開日: 2020/09/30
    ジャーナル フリー

    原位置不溶化処理を行った水銀およびふっ素で汚染された地盤を対象として長期安定性を評価した。そこで,(1)汚染物質の溶出抑制効果の定量評価,(2)再溶出した汚染物質の挙動把握が必要と考えた。ここでは,前者について実際に原位置不溶化処理した地盤で採取した土を用い,室内試験により不溶化処理土の再溶出の可能性を確認した。後者は数値解析に基づき再溶出した物質の地盤内の挙動を検討した。その結果,水銀は130年経過した場合に基準不適合となり,ふっ素は1,800年以上基準適合となることから不溶化処理によって長期的に安定することが推察された。再溶出した汚染物質は,不溶化処理に伴う化学形態の変化と地盤の透水性低下に伴い,水銀の場合に100年経過しても0.02m程度の移動となった。以上のことより,原位置不溶化処理による長期的な拡大防止効果に関して定量的な評価が可能になった。

  • 久保田 洋, 繁泉 恒河, 永山 陽裕, 藤川 拓朗, 古賀 千佳嗣, 佐藤 研一, 肴倉 宏史
    2020 年 15 巻 3 号 p. 573-580
    発行日: 2020/09/30
    公開日: 2020/09/30
    ジャーナル フリー

    最終処分場の新規建設が難しい現在において,主要埋立物である焼却主灰のリサイクルは喫緊の課題である。本研究では,焼却主灰を土木資材としてリサイクルすることを目指し,散水と炭酸化による安定化促進処理が主灰の力学・溶出特性に及ぼす影響と他の資材との混合材料化方法について検討を行った。試験では全国6カ所の焼却主灰を用いて,カラム試験にて散水・炭酸化処理の溶出特性への影響について調べ,うち1カ所の主灰を用いて,力学特性へ及ぼす影響についても調査を行った。結果として,炭酸化によりPbの溶出抑制効果が確認された一方で,Cr(VI)の溶出増加の傾向が示された。また力学特性への影響として,修正CBR値の低下が示唆された。そこで本研究ではこれらの課題に対して,焼却主灰との混合材料として,鉄剤や再生砂等の副資材の効果ついても検討・考察を行った。

論文
  • 岸 裕和, 小林 薫, 谷中 保男
    2020 年 15 巻 3 号 p. 581-598
    発行日: 2020/09/30
    公開日: 2020/09/30
    ジャーナル フリー

    ダム基礎のカーテングラウチングは基礎岩盤の水理学・力学的安定性確保のために必要であり,合理的な施工にはグラウチングの改良効果の適切な評価が重要である。これには主にルジオン値の改良目標値に関する非超過確率が用いられ,従来では規定孔と追加孔の次数毎に評価されてきた。施工範囲に均等配置される規定孔の非超過確率は施工範囲全体の改良効果を表すが,追加孔については施工範囲全体の改良効果を表さない。しかし,追加孔の非超過確率が最終的な改良効果の指標とされる事例が多くある。この改善には規定孔と追加孔を総合した非超過確率の評価方法が必要である。筆者らは,施工範囲全体の面積に対する改良された領域の面積割合による非超過確率の評価方法を構築し,これに基づき追加孔合理化の判断を支援する方法を示した。これらの有効性は,国内ダムサイトのカーテングラウチング工事で確認された。

  • 平林 弘, 川口 貴之, 川尻 峻三, 山下 聡
    2020 年 15 巻 3 号 p. 599-608
    発行日: 2020/09/30
    公開日: 2020/09/30
    ジャーナル フリー

    本研究では,国内21箇所,海外9箇所の粘性土地盤で実施した原位置ベーンせん断試験結果と,そこから採取した試料を用いた室内試験結果から,定体積一面せん断試験や一軸圧縮試験による非排水せん断強さと原位置ベーンせん断強さとの相互関係について詳細に検討した。その結果,透水係数や圧密係数が大きく,有機分が多いと思われる陸成粘土では相対的に原位置ベーンせん断強さが大きくなる可能性が高いことが明らかとなった。そこで,このような地盤を除外した試験結果から,原位置ベーンせん断試験から室内試験と同等な非排水せん断強さを得るための関係式を求めた。

  • 秋山 隆
    2020 年 15 巻 3 号 p. 609-622
    発行日: 2020/09/30
    公開日: 2020/09/30
    ジャーナル フリー

    土木構造物を設計する際には,予め決められた建設場所の社会条件/自然環境に調和するように設計を実施する.一方,重要施設や長期の機能維持を必要とする地層処分などの特殊な土木構造物においては,詳細調査後に立地不適となる手戻りを避けるため,自然事象の不確実性が少なく地質的に安定している地域を事前に選定した上で,その場所に施設を計画することが望ましい.自然事象のうち断層運動等を考えたとき,適地判断に必要な影響範囲やその発生確率を具体的に評価する手法や基準は,現状では確立されているとは言えない.よって本稿では,自然事象として断層運動と隆起・侵食を取り上げ,その影響を避けた施設建設の候補地を抽出するためのツールとなる「自然事象の影響範囲予測手法」の検討を行い提案するものである.

  • 濱口 隼人, 毛 無衛, 古関 潤一
    2020 年 15 巻 3 号 p. 623-634
    発行日: 2020/09/30
    公開日: 2020/09/30
    ジャーナル フリー

    砂地盤への杭貫入に伴う粒子の破砕や滑動といった微視的現象の観察方法として,AEトモグラフィ法の適用可能性を明らかにすることを目的とした模型実験を実施した。AEトモグラフィ法の位置標定精度を評価したうえで,砂地盤への閉端杭および開端杭貫入に伴うAE事象の位置標定を行った。その結果,計測空間の中心部で位置標定精度が高いこと,閉端杭貫入に伴うAE源分布の推移は「静止かつ収縮」および「移動・形状維持」,「移動・貫入方向への伸長」の3つの段階に大別でき,計測されるAE信号は100kHz以下の周波数成分を有するものが支配的であること,および,支持機構の異なる杭貫入において形状の異なるAE源分布が得られることを示した。

ノート
  • 深井 公, 大島 昭彦, 安田 賢吾, 松谷 裕治
    2020 年 15 巻 3 号 p. 635-642
    発行日: 2020/09/30
    公開日: 2020/09/30
    ジャーナル フリー

    スウェーデン式サウンディング(SWS)試験にはJIS規格とISO規格がある。現在,SWS試験のJIS改正作業が行われているが,2017年にISO規格が制定されたことにより,国際化への対応を目的として,ISO規格との整合が求められている。しかし,両規格にはスクリューポイント(SP)の形状およびロッド直径などに違いがあり,それらが試験結果に影響を及ぼす可能性が考えられる。そこで,地形条件,地盤条件の異なる5地点で比較試験を実施した。さらに,SPの摩耗の影響も調べた。これらの比較試験には,自沈時の自動制御が可能で,かつ回転速度を一定に保持することができる全自動式試験機を採用した。その結果,JIS規格とISO規格の試験結果はほぼ同じとなり,特に粘性土でばらつきが少ない試験結果が得られた。

  • 伊藤 広和, 石丸 真, 中井 健太郎, 野田 利弘
    2020 年 15 巻 3 号 p. 643-652
    発行日: 2020/09/30
    公開日: 2020/09/30
    ジャーナル フリー

    2011年東北地方太平洋沖地震の影響により,関東地方でも広範囲に液状化が発生し,多数の電柱が沈下・傾斜の被害を受けた。都市部では電柱は狭小な場所に設置される場合が多いため対策範囲が限られており,また液状化地域だけでも膨大な数量の電柱が施設されているため,安価で簡易な対策工法の開発が望まれている。本研究では排水工法に着目し,砂地盤の液状化時における電柱の沈下・傾斜の抑制を目的として,電柱にドレーン孔を設ける工法を新たに考案した。電柱底部,および電柱底部・地中部側面にドレーン孔を設けた模型を用いて遠心力模型実験を行ったところ,沈下量・傾斜量ともにドレーン化の程度に応じて小さくなり,電柱のドレーン化は液状化地盤の電柱の沈下・傾斜に対して一定の効果があることを実証した。

  • 稲積 真哉, 小島 一彦, 橋田 弘之, 加藤 崇浩
    2020 年 15 巻 3 号 p. 653-663
    発行日: 2020/09/30
    公開日: 2020/09/30
    ジャーナル フリー

    土壌について地盤工学の見地からみると,不確実・不均質なものである。そのため,例えば精密な試験無しに土質区分の判定等を行おうとすると,一定の経験が求められる,判断に個人差が現れる等といったことが起こり得る。これら知見の継承と経験に影響されやすいという背景を受けて,本研究は技術者の知見を蓄積して継承するため,また個人差がでやすい現場判断に一定の指標を与えるため,地盤工学分野での人工知能(AI)の利用場面を拡大することを目的として機械学習を用いた人工知能による画像認識の可能性について示すものである。本研究ではニューラルネットワークを用いたモデルで簡易的な深層学習を行い,土質区分判定に深層学習を行ったAIを適用できることを示した。

報告
  • 川波 敏博, 西條 健吾, 竹本 将, 中田 幸男
    2020 年 15 巻 3 号 p. 665-674
    発行日: 2020/09/30
    公開日: 2020/09/30
    ジャーナル フリー

    切土のり面で多くの実績を持つ鉄筋挿入工は,近年,盛土のり面においても地震に対する予防保全や崩壊復旧時の安全確保として採用されている。しかし,盛土補強としての指針や設計・施工事例の報告はまだ少ない。本論文は,豪雨により崩壊した盛土のり面の応急復旧として鉄筋挿入工を採用し,翌2018年7月の「平成30年7月豪雨」によりすぐ横隣の同一盛土は崩壊したが,当箇所は被災しなかった事例である。切土補強土工要領にある極限周面摩擦力の推定値を利用して鉄筋規模を算出し,崩壊のり面の安定に必要な抑止力の不足分を補強した。その結果,盛土においても補強効果が発揮されることや,切土の設計要領が盛土のり面に適用できることがわかった。また,盛土に適用する場合の施工上の留意点や,水抜き工と併用することの重要性もわかった。

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