2022 年 17 巻 1 号 p. 19-32
岩盤の強度特性を調べる場合,通常,大型の試験体を用いた原位置岩盤せん断試験が用いられるが,初期応力や境界条件が不明であるため,試験結果の解釈は必ずしも容易ではないなどの課題がある。一方,近年,設計用地震動の増大に伴い,原子力発電所の基礎岩盤や周辺斜面の耐震性評価において,岩盤の破壊を考慮できる動的非線形解析手法の開発が進められているが,実物に対する実績が少なく,検証用のデータも不足している。本研究では,原位置岩盤せん断試験の課題の解決とともに,動的非線形解析の検証用データも取得できる大型の岩盤試料を用いた室内の繰返し一面せん断試験法を開発し,軟岩を対象として室内要素試験の結果と比較することにより,開発した試験法の適用性を検証した。