2020 年 76 巻 7 号 p. III_349-III_354
本研究では,特定外来生物オオバナミズキンバイの茎断片からの再生に及ぼす影響要因を把握することを主目的とした.琵琶湖岸矢橋地区で単独測位携帯型GPSによる生育分布調査を行った結果,オオバナミズキンバイの植生面積は2014年冬に49,569m2であり,重機による大規模な駆除の後,2015年冬に136,198m2に拡大していた.そこで,室内における茎断片からの再生実験を計240試料(節,栄養塩,茎長,茎径別)で実施した結果,節の有無が再生の主要因であった.節ありの試料について栄養塩,茎長,茎径による3元配置分散分析を行った結果,茎径の寄与率が37.7%であり,再生に大きく影響していた.分散分析を経過日数別のデータを対象に実施した結果,培養開始2日目には栄養塩有りの試料で生長倍率が高い傾向が示され,栄養塩は生長初期段階で寄与することが分かった.