2023 年 18 巻 2 号 p. 211-222
日本国内に分布する 6 種類の火山灰質粗粒土を対象に,飽和・不飽和繰返しせん断試験を実施し,飽和度の低下に伴う繰返しせん断変形特性,液状化特性を把握した。試験結果から,降下火砕堆積物であるボラを除き,飽和度の低下に伴う液状化強度比の増加が確認された。しかし,その増加傾向は中密な豊浦砂に対してどれも鈍感であり,飽和度の低下による液状化強度比の増加が中密な豊浦砂ほど見込めないことが示唆された。火砕流堆積物である支笏軽石流堆積物およびしらすでは,飽和度 80%から 70%で液状化強度比の増加傾向は降下火砕堆積物に対して敏感であり,降下火砕堆積物に対して,初期細粒分含有率が大きい火砕流堆積物では,飽和度の低下に伴う液状化強度比の増加が大きい結果を示した。ボラは,飽和度の低下に伴う液状化強度比の変化が微小であり,明確な増加傾向は示さなかった。