地盤工学ジャーナル
Online ISSN : 1880-6341
ISSN-L : 1880-6341
18 巻, 2 号
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特集号(第14回環境地盤工学シンポジウム)
  • -CO2固定化の反応速度に及ぼす平均粒径とCa2+溶出量の影響-
    横井 亨朱, 小峯 秀雄, 後藤 茂, 王 海龍, 伊藤 大知, 鈴木 清彦, 國弘 彩, 疋田 貴大
    2023 年 18 巻 2 号 p. 97-107
    発行日: 2023/06/01
    公開日: 2023/06/01
    ジャーナル フリー

    著者らは遊離Caを含むばいじんのCO2固定化の研究を行い,CO2ガスとばいじんを反応させるCO2固定化用プラントを提案する。本研究はプラントへの試料選定時有効指標の提案を目的とし,反応速度と平均粒径,およびCa2+溶出量の関係性を評価した。試料は平均粒径とCa2+溶出量が異なる3種のばいじんを選定し,反応速度は一定流量通気型CO2固定化試験から算出した。その結果,平均粒径が最小,Ca2+溶出量が最大の試料は最大の反応速度を,平均粒径が最大,Ca2+溶出量が最小の試料は最小の反応速度を示した。以上から,平均粒径,およびCa2+溶出量が反応速度の大小に有意な影響を及ぼすと示唆された。

論文
  • 佐々木 朋子, 川村 志麻, 松村 聡, 古関 潤一
    2023 年 18 巻 2 号 p. 109-121
    発行日: 2023/06/01
    公開日: 2023/06/01
    ジャーナル フリー

    本研究では,一般的な盛土材に使用される山砂を用いて締固め層厚が異なる供試体を作製し,締固め層厚の違いが繰返し非排水三軸試験の液状化特性に及ぼす影響を詳細に検討した。検討に当たっては,X 線CTを用いた画像解析によって供試体内の密度分布を,PIV を用いた画像解析によって繰返し載荷中の軸方向ひずみの分布を計測し,液状化特性との関連を調べた。それらの結果から,締固め層厚の違いは,粒径幅の広い土試料であっても供試体作製時の密度分布に変化をもたらし,液状化特性に影響を及ぼすことが明らかにされた。また,試料の粒度組成によらず,供試体内に密度の低い領域が形成されたケースほど液状化強度は低くなることが明瞭に示された。そして,得られた結果から,現行基準の湿潤締固め法による供試体作製法の留意点を述べている。

  • 高畑 修, 宮口 新治, 原田 拓也, 桑原 充, 宗像 誠也, 秋山 嘉文, 門間 聖子, 保高 徹生, 小峯 秀雄
    2023 年 18 巻 2 号 p. 123-138
    発行日: 2023/06/01
    公開日: 2023/06/01
    ジャーナル フリー

    建設工事において,自然由来重金属等を含む岩石や土壌を掘削し盛土へ利用する際は,重金属等の長期的な溶出可能性も含めて,適切な漏出対策が求められており,その対策には「転圧」や「粘性土等による被覆」が含まれている。このことは,道路盛土等の施工に伴う「転圧」や,「覆土」により発揮される溶出抑制効果を適切に評価できれば,漏出対策の省略も含めた合理的な対策の立案に繋がるものと考えた。そこで本研究では,黄鉄鉱を含み急速に酸化が進行する砂岩を用いた仕様の異なる 3 つの実大試験盛土による約 4 ヶ月の曝露試験から,盛土内部の環境と酸性化の進行に,浸透水によって供給される酸素や温度が影響を及ぼしている可能性を示した。

  • 石崎 武志
    2023 年 18 巻 2 号 p. 139-150
    発行日: 2023/06/01
    公開日: 2023/06/01
    ジャーナル フリー

    地盤凍結の際に,凍上現象によって地盤が膨張する。この凍上量を予測するために,日本では,凍結膨張率を凍結速度で表した経験式が用いられている。また,海外では,凍結面への吸水速度が部分凍結領域の温度勾配に比例するという経験式を用いて凍上量が予測されている。ここでは,凍結速度および温度勾配をそれぞれ独立なパラメータとして実験を行い,凍上速度が凍結速度のみや部分凍結領域の温度勾配のみでは表すのは困難との認識を得た。一方,凍上速度を凍結速度と温度勾配をパラメータとして1次式として表せることが分かった。様々な凍結速度および温度勾配のある状況での地盤凍結において,新しい凍上速度予測式の提案を行う。

  • 尾﨑 匠, 中島 進, 古関 潤一
    2023 年 18 巻 2 号 p. 151-168
    発行日: 2023/06/01
    公開日: 2023/06/01
    ジャーナル フリー

    擁壁の耐震診断・補強設計で用いる地震時主働土圧の算定においては,鉄道分野では擁壁背面地盤の粘着力の影響は考慮されていない。しかし,既設擁壁の多くは厳格な材料規制制定の前に建設されたため,背面地盤は細粒分を多く含み粘着力の影響を多大に受ける場合がある。このため,粘着力の影響を考慮することで,より実態に即した地震時主働土圧の評価が可能と考えられる。上記を踏まえ本論では,擁壁背面地盤に発生するすべり面上の粘着力,および擁壁背面に生じる付着力の両者を考慮した地震時主働土圧算定式の一般解を導出した。また,導出式より簡便に地震時主働土圧を評価する簡易法も提示した。最後に従来法および提案した各手法を用いて,もたれ壁の地山補強材による補強を想定した試算を行った。その結果,粘着力の影響を土圧算定において考慮することで,必要な補強材長が縮減されることを確認した。

  • 橋本 綾佳, 長谷川 翔, 田村 俊孝, 尾花 誠一, 有馬 孝彦, 五十嵐 敏文
    2023 年 18 巻 2 号 p. 169-179
    発行日: 2023/06/01
    公開日: 2023/06/01
    ジャーナル フリー

    重金属等含有掘削土の対策工である吸着層工法や不溶化工法に用いられる人工資材は,施工後の現場条件の変化によっては再溶出の可能性があるため,その長期的な寿命について評価する必要がある。本研究では,掘削土に混合した資材主成分が全量溶脱する期間を寿命と定義し,溶出試験と PHREEQC による解析結果を踏まえた人工資材寿命の新たな評価法の構築を目的とした。掘削土とカルシウム系あるいはマグネシウム系を混合した不溶化バッチ試験によって,砒素(As)の液相からの除去率は pH に依存することが確認され,また液相中の主成分濃度は,混合した資材の主たる鉱物の溶解度によって制限されることが示された。これらの結果を踏まえ,試算した資材主成分の寿命は数百年から数万年程度であると評価された。

ノート
報告
  • 門田 浩一, 佐藤 成, 本橋 あずさ, 東郷 智, 金子 俊一朗
    2023 年 18 巻 2 号 p. 193-210
    発行日: 2023/06/01
    公開日: 2023/06/01
    ジャーナル フリー

    平成 28 年 4 月の熊本地震では,震源となる布田川断層帯上に位置する西原村において,宅地地盤のすべり崩壊及び擁壁倒壊等の甚大な宅地被害が発生した。宅地地盤の盛土部は黒ぼくが主体であり,盛土下位には赤ぼくが分布し,主にこの黒ぼく盛土と赤ぼくにおいてすべり崩壊が生じた。本稿では,地震の繰返し載荷を受けた黒ぼく盛土及び赤ぼくの強度低下について着目し,宅地地盤のすべり崩壊の発生要因について検討した。黒ぼく盛土及び赤ぼくの物理特性・力学特性等の分析,非排水せん断強さと繰返し載荷を受けたせん断強さの比較検討を行うとともに,水平震度及び強度定数の低下率をケーススタディとした円弧すべり法による再現解析を実施した。検討結果より,地震の繰返し載荷を受けると,高含水比状態にある黒ぼく盛土及び赤ぼく部では,その強度定数が 4~5 割程度低下し,すべり崩壊が発生したと考えられる。

  • 吉原 隆, 海野 寿康, 松丸 貴樹, 緑川 雄介
    2023 年 18 巻 2 号 p. 211-222
    発行日: 2023/06/01
    公開日: 2023/06/01
    ジャーナル フリー

    日本国内に分布する 6 種類の火山灰質粗粒土を対象に,飽和・不飽和繰返しせん断試験を実施し,飽和度の低下に伴う繰返しせん断変形特性,液状化特性を把握した。試験結果から,降下火砕堆積物であるボラを除き,飽和度の低下に伴う液状化強度比の増加が確認された。しかし,その増加傾向は中密な豊浦砂に対してどれも鈍感であり,飽和度の低下による液状化強度比の増加が中密な豊浦砂ほど見込めないことが示唆された。火砕流堆積物である支笏軽石流堆積物およびしらすでは,飽和度 80%から 70%で液状化強度比の増加傾向は降下火砕堆積物に対して敏感であり,降下火砕堆積物に対して,初期細粒分含有率が大きい火砕流堆積物では,飽和度の低下に伴う液状化強度比の増加が大きい結果を示した。ボラは,飽和度の低下に伴う液状化強度比の変化が微小であり,明確な増加傾向は示さなかった。

  • 曽我 大介, 山崎 貴之, 高野 裕輔, 阪田 暁, 西岡 英俊, 佐名川 太亮, 青木 一二三
    2023 年 18 巻 2 号 p. 223-238
    発行日: 2023/06/01
    公開日: 2023/06/01
    ジャーナル フリー

    九州新幹線(武雄温泉・長崎間)の長崎県大村市内の平野部は,ラーメン高架橋および桁式高架橋で構成される区間であり,扇状地堆積物を支持層とする直接基礎形式が採用された。供用開始後も含めて高精度の軌道管理が必要とされる新幹線高架橋の基礎においては,極限支持力を有するだけでなく,変位を極力生じさせないことが求められる。当該地区の地盤は概ね鉄道構造物の支持地盤条件の目安(N 値 30)以上であるが,局所的に N 値が 20 程度であり,新幹線高架橋に直接基礎を採用するためには入念な検討によりその支持性能を評価する必要があった。本稿では,原位置せん断摩擦試験等詳細試験による支持地盤の設計用値の設定,最大載荷板幅 1,000mm の平板載荷試験による設計用値の妥当性の確認および施工時の支持層管理手法の提案により,新幹線高架橋に求められる支持性能を有することを確認した結果を報告する。

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