2025 年 20 巻 2 号 p. 235-250
地山補強土工法では道路分野を中心として法面工の種類や形状に応じて法面工低減係数µを用いて設計されている。しかし,この法面工低減係数µは,提案された当時の「剛な法面工」を対象に検討された値であり,現在の様々な材料や形状を有する法面工に対して,同一観点で評価できるのかが課題である。本研究は,はじめに法面工低減係数µ算出に関する既往実験方法を系統的に整理した。その結果,変位量などの統一的な規定が存在しないことが明らかになった。次に,地山補強土工法の補強効果を確認する際に用いられる天端部からの斜め載荷による実験方式で遠心模型実験を行った。本研究の範囲では,大変形時には補強材の曲げによって法面工低減係数µが過大評価されること,同じ法面工低減係数µでも,斜面安定性に対する法面工の効果は異なることが分かった。