首都圏湾岸部の深度40 m 付近には,七号地層に代表されるN 値が4~8 の中位の粘性土地盤が分布している地域がある。この場合,トンネル標準示方書に則って安全側にセグメントの設計を行うと,土水一体かつ全土被り圧を採用する必要があるため,セグメントの厚さが不合理に厚くなることがある。一方,中位の粘性土地盤でセグメントに作用する土水圧を計測すると,地盤の自立性が高い場合は,セグメントには主に静水圧程度の水圧が作用し,鉛直有効土圧は全土被り圧以下であったとの事例が報告されている。本研究は,中位の粘性土地盤中のセグメントに作用する土水圧の取扱いを明確にすることを目的として,シールド工事現場における土水圧の計測事例を,土水連成の3 次元弾塑性FEM を用いて分析するとともに,トンネル外周地盤の力学的挙動に着目してセグメントに作用する土水圧について検討したものである。